- 企画・製作・主催作品
- ■ファンタジーミュージカル 夜物語
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夜物語
原作 パウル・ビーヘル
翻訳 野坂悦子
企画・製作・主催
シアタープロジェクト羽鳥 -
前進座劇場 2009年
脚本・作詞・演出 羽鳥三実広
作曲 本田成子 鈴木喬子
振付 松永さち代
編曲 小島良太
写真 山之上雅信 山口ヒロユキ
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- 写真 山之上雅信 山口ヒロユキ
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コラム1
- 【秀逸な童話ミュージカル『夜物語』】 評論家 故・瀬川昌久氏
- シアタープロジェクト羽鳥を主宰する羽鳥三実広が、オランダの作家パウル・ビーヘルの童話を自ら脚色・演出したミュージカル『夜物語』(11月3日~7日、前進座劇場)は、物語・音楽・ダンス三拍子揃って周到に準備された近頃出色の出来だった。
ビーヘル(1920-2006)の原作(翻訳=野坂悦子、徳間書店刊)は、おばあさんの家の屋根裏に住む小人が妖精と出会い、普通の生き物のように限りある生命をもちたいと願う妖精の遍歴をきいていく話で、色々な出会いを要領よくまとめて、ファンタジックで感動的な舞台に仕上げた。
日本の童話にはない原作の多様な登場者の面白さがWキャストで十分に活かされた。
妖精(野口智世・門川明日香)、小人(安福毅・喜多原拓人)、おばあさん(山田明美)など、それぞれの役柄を好演。ナーンジャ、カーンジャ、フキゲンジャーと名乗る3人の魔法使いのそれらしい振る舞いも秀逸。小人を囲むドブネズミとヒキガエルも動作や台詞廻しにコミカルな個性を発揮した。
その他、総計30余名が2役以上のせりふと演技をよくこなした。肝心の歌とダンスもレベルが高い。音楽ナンバー24曲(作曲=本田成子、鈴木喬子)全て旋律が美しく、ソロと合唱のバランス良く、高音をきれいに出した。
弦を主体にしてブラスの強音を使用しない伴奏編曲(小島良太)が効果的。ダンス(振付=松永さち代)は場に応じて多彩。妖精の群舞はバレエ風に、フルエの女王の軍隊は早いテンポの激しい踊りで攻撃する。
キャストは四季など劇団出身が多いが、羽鳥塾生もおり、羽鳥の指導で相当の芸水準を身につけている。 作品としての完成度は相当高いと思うので、ぜひ定番になって欲しいと願う。
- 月刊ミュージカル 2010年12月号 バラエティ時評
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コラム2
- 観劇感想1
- 人に何かを伝えるという行為は難しいことかもしれませんね。職業であっても、親であっても、子供であっても相手があることですから。「夜物語」に出会って、しみじみと考えました。心を磨いて、身近にある愛について一つ一つ気づいていけるようにもう一度頑張ってみようと思います。
(55歳 主婦)
- 観劇感想2
- ファンタジーを時間を忘れて大変楽しく観させて頂きました。筋書きはファンタジックであっても、言ってる中身は深いですね!!自分の日頃の日常生活をこれでいいのかな~?と考えさせられました。当り演目としてロングランできるといいですね!! 新しい演目も是非観たいです。歌も演劇も本当に超々一級品ですね。ありがとう。
(66歳 指圧療術師)
- 観劇感想3
- 本当にプロフェッショナルな舞台を観させていただきました。ありがとうございました。1冊の本があの舞台に変わるなんて、本当にスゴイと思う。
ミュージカル=外国もの=英語の歌を無理やり日本語訳?みたいな?観たこともないのに勝手に思い込んでいました。でも台詞は台詞で、歌は歌で何の違和感なく自然に入ってきました。
ダンスも衣装も舞台全体の雰囲気も素敵でした。出演者・スタッフの熱意が本当に伝わってきました。感動~~。花道もすっぽん?も目新しく、すぐ横の席だったのでドキドキしちゃいました。違うキャストでも観てみたかったです。みんなみんな良かった~。本当に子供から年配の方まで誰が観ても楽しめるし、是非再演してほしいですね。
- ■ミュージカル 孤児マリア
- 写真 山之上雅信 山口ヒロユキ
コラム1
- 作品、歌唱とも高水準の出来~羽鳥塾の傑作「孤児マリア」 評論家 故・瀬川昌久氏
- 劇団四季出身の羽鳥三実広が主宰するシアタープロジェクト羽鳥が、ミュージカル「孤児マリア」を再演(8月28日~31日、俳優座劇場)した。
羽鳥が脚本・作詞・演出を手がけたオリジナル作で、ディケンズの「オリヴァー・ツイスト」の時代背景を参考にして、19世紀の英国の孤児院で育った15歳のマリアが世に出て苦難のみちを歩む道程をドラマチックに画く。
羽鳥は四季に27年在団し、舞台製作にも関与した経験を生かして、10年前から自身の羽鳥塾での俳優育成と制作活動を続けており、本作は2012年に初演し、好評を得たので、今回更にグレードアップし構成を緻密化した。
マリア(蒔田優香と今野愛のWC)の父(六ツ﨑武至)は母(坂口祐未衣)を疎遠にして恋人にマリアを生ませるが、彼女は直ぐ死亡する。
マリアが入れられた孤児院を運営するシスター(武木綿子)や福祉委員たちの狡猾な振舞いや孤児たちへの虐待の赤裸々さは、ディケンズ原作からの引用だが、当時の英国社会の実相がショッキングに画かれる。
マリアを囲む孤児たちの間のあくどい妬みやいじわるに対し、マリアがどこまでも一人で責任をとる状況が、巧みな脚本と孤児役6人の好演によって、すがすがしく感ぜられる。
マリアが逃亡して贋作工房のベラおば(塩田朋子)に助けられ、マリアの絵画の才能が発揮される過程は明るく演ぜられ、特に塩田の演技は文学座で鍛えただけにアカヌケしている。一方マリアの義母兄フレデリック(伊藤謙吉)が父の遺産相続の少ない恨みから、マリアをおとしいれようと画策して贋作の罪を暴露する。
裁判の席でマリアの叔父の軍人ベングラー(田代久雄)が現れて、マリアの実相を解明して、遂に無実をかちとる。マリアはラストに、これからも力強く生きていく決意を述べて幕となる。
マリアのたどる道程に多様な事件が織り重なる経過を要領よくコンパクトにまとめた脚本がプロの芸を実証して面白く教えられることが非常に多い。
出演者のせりふ、歌唱共に明瞭で、良くコントロールされている。音楽(鈴木喬子)は、ナンバー23曲、いずれも情感を巧みに表現した旋律を、ソロ、重唱ともに美しくこなし、実力的に高水準の出来だ。筋書きが予見されるような大劇場作品が多い中で、羽鳥作品はもっとロングランするに足るオリジナル作品と思う
- 週刊オン★ステージ ミュージカル評 2014年9月12日版
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コラム2
- 観劇感想1
- 孤児マリア9月1日昼の部を観させて戴きました。
あっという間の2時間。展開にワクワクしながら楽しませて頂きました。「希望の歌」のとおり、振り返らず、前へ前へと進むことが、現実の世界でも一番大切なことと思える毎日です。心温かく勇気を頂けた作品に出会えて、嬉しくなりました。
孤児院の少女たちの刺繍の演技はとてもリアルでした。ダンスも力強く、引き込まれました。舞台のセットも興味深く、画廊の絵画のシーンには驚きました。劇場に足を運び、非日常の中に身を置くことの楽しさを充分味わうことが出来ました。
歌、芝居、踊り、音楽、舞台の総合芸術。これからも素敵な作品を観せて下さい。
プログラムもとても楽しく拝見しました。
P.S.当日、アンケートが書けなかったのでお便りさせて頂きました。 - 観劇感想2
- 本当に素敵な舞台でした。
友人から、『ミュージカルの終わりの方の台詞はまるであなたに向けて話しているようだった。 私達は今を生きなくてはいけませんよね。
なるべく私も全てを受け入れ、出来るだけ良い方へ進むよう、努力したいと思います。頑張りましょう!』 とメールを貰いました。
舞台を見ていて、素直に入り込んで見ている自分に戸惑いなから、自意識過剰とは思いつつ、言葉が、自分に向けられているようにも思え、心に響きました。
(女性 50代) - 観劇感想3
- ミュージカルは人生で2回目でしたが、感動しました。
前半の孤児院での暗く絶望的な場面も、主役のマリアの希望に満ちた輝きが、一層際立っていました。素敵な歌声や演技もどれほどの練習の賜物かと思うと、想像できません。美しい言葉の数々を胸に留めたいと思います。
(女性 20代 学生)