銀河劇場オンステージワークショップ2009
2月8日の日曜日。昨年に引き続き、今年もまた銀河劇場での「オンステージ・ワークショップ」の講師を務めさせて頂いた。 テキストは昨年と同様、ホリプロで上演された「ピーターパン」の台本から私が抜粋したものである。参加者は9歳から40歳超の27名。母娘で参加という微笑ましいお二人もいらっしゃった。
講師陣の顔ぶれは昨年と変わっている。歌唱指導の鈴木京子君は羽鳥塾ミュージカルクラスの講師仲間。劇団四季在籍中に「オペラ座の怪人」のクリスティーヌ、「美女と野獣」のベル、「エビータ」のエビータ等々、数々の主役を務めた実力派だ。「名選手、必ずしも名監督とはなり得ず」は大はずれ。彼女はトレーナーとしても群を抜く力を持つ。
振付の羽根渕章洋君も元劇団四季。「キャッツ」のミストフェリーズ、「ライオンキング」のティモン等々、多くの作品に出演し、活躍していた。現在、現役のダンサーを続けながら、クラシックバレエの講師や振付家として活動している。
アシスタントは坂本一海君。私の主宰するミュージカルクラス、演技クラスの両教室で学んでいるバリバリの若手ミュージカル女優さんだ。秋に上演する「夜物語」への出演も決まっている。将来はダンス指導や振付の分野にも才能を発揮していくことだろう。
さて、ワークショップは昨年と同様の流れで運んだ (2008年 3月7日 演劇雑記参照)。午後5時過ぎ、舞台では高揚した表情で並ぶ参加者の眼前を緞帳(どんちょう)幕が下ろされていく。一日の成果を発表する「本番」が終了したのだ。劇場関係者の声をご紹介しよう。
「ワークショップを受ける前と後で、素人さんでもこんなに変わるんだ?! もう、感動して涙が出た!」 この感想を漏らした御仁、若い方ではない。演劇界で40年以上も精力的に仕事をされてきた方だ。他にも見学者の多くが「感動した」とおっしゃってくださった。
では一体何が皆さんにそう言わしめるのか? 短時間ながら自分の課題に必死に取り組む参加者の姿である。そこにはプロの俳優にありがちな「うまくやりたい」、「成功して有名になりたい」などの邪心はない。ただただ必死に「やり遂げたい」という熱い想いがあるだけだ。
脇目もふらず、目の前のことに全力を尽くす。ありきたりな言葉だが、その姿勢が見ている者を感動させたに違いない。指導している私だって目頭が熱くなった。
一般の方が劇場に親しむ機会を提供する、この銀河劇場の「オンステージ・ワークショップ」。副題は「ミュージカル俳優入門 レッスン~お稽古まで」。ミュージカル俳優が日頃自らに課す訓練や、公演のために踏む稽古プロセスを、たった半日ほどで体験する試みである。
いつも客席から見ているだけの舞台上で、束の間ながら実際に自分が俳優として演じ、歌い、踊ったという経験は何物にも代えがたいはずだ。参加者の皆さんがこれからも熱い想いを持って演劇を支えて下さる観客となられることを強く信じている。このような試みは一般の方が劇場文化へ関心を持たれる良い機会だ。是非全国各地で行われることを祈りたい。
ワークショップ当日は「ケーブルテレビ品川」さんの取材も入っていた。「きょうの参加者の出来は何点ぐらいですか?」のインタビューに私は自信を持って答えた。「100点満点です!」